床に生えたゲジゲジ

皆さんはゲジゲジってご存知でしょうか。
ムカデでも毛虫でもない、ゴキブリを補食するあれですね。
湿気が大好きでだいたい山の雑草の中や湿った倉庫の中にいる、あいつです。
今回はそのゲジゲジの話、をしてしまうと気持ちが悪いのでその関連のおもしろ話を一つご披露したいと思います。
昨年とあることがきっかけで入院したのですが、その時のことです。
同室は女性四人。
一人は同い年、一人は10才上、もう一人は5才下でした。
その5才下のギャル系のお姉さんはとてもいい人だったのですが、朝からばっちりギャルメイクを仕込む最近のアゲアゲガールだったのです。
人見知りもなく、気安く話しかけてくれるかわいらしい子でした。
その子には毎日入れ替わり立ち替わりたくさんの友人がお見舞いに訪れ、中には朝から夜までずっといる人もいました。
絶対安静を強いられるような病室ではなかったのですが、来る人来る人が同じ顔立ちの同じ体型のギャルお姉さんばっかりだったので、やはり類は友を余分だなぁと実感したものです。
ある日の夕下がり。
私以外病室に誰もおらず、ぽつんとしていてもつまらないから家族に電話をかけようと思ってベットから立ち上がりました。
カーテンを引いて、病室を後にしようと思った時、床に黒い物体がいたのです。
人差し指ほどの大きさのそれを見た時、触手のようなものが見えたのでイニシャルG(黒いぎとぎとの虫で、飛ぶやつです。
私は勝手にホームステイと呼んでいます)かと思ったのですが、触手はたくさん生えていたように見えたのでゲジゲジだと思って悲鳴を上げました。
ぎゃああ、と悲鳴を上げると近くにいたらしい巡回中の看護師さんが声をかけてくれました。
どうしたの、と聞かれ腰を抜かして声が出ないままヒーヒー言っていた私は床の一点を指差しました。
まさしく、看護師さんの足下。
看護師さんはぎょっとしたようでたたらを踏んで目を見開いたようでした。
しかしすぐに、「なんだ。
誰かの置き土産ね」と言って床にしゃがみ込みました。
恐ろしいことができる看護師さんだわ、と思いながら凍り付いていると看護師さんはゲジゲジを手でつかんでほら、と見せてくれました。
「つけまつげね」。
はい。
つけまつげだったのでございます。
床に落ちていたのはきっとギャルの子のお友達が落として帰ったつけまつげの片割れ。
病院にゲジゲジが出るはずはないことはわかっていましたが、さすがに肝を冷やしました。
退院してから友人に話すとこれまた大爆笑で、いい入院の思い出になりましたが二度とごめんです。